前回の記事の訂正とお詫びのエントリーとなります。
blog.ya-man-work.com/article.php?id=1770717502
Xで記事を公開したところ、Koichi Nakashima氏からご指摘をいただきました。
https://x.com/ko1nksm/status/2021261735978537280
このポストでは、TRONプロジェクトに「官」は関係ない事や、国内の反対勢力の存在等のご指摘を受けました。
Koichi Nakashima氏はQiitaで、非常に詳しくTRONプロジェクトの経緯についてレポートを上げられています。
こちらのページより検索していただければご参照いただけます。
【終わり】
とする訳にもいかないので、私なりに広げた風呂敷を畳ませていただきたいと思います。
勉強不足であった私の認識を正していただいたKoichi Nakashima氏には、大変感謝いたします。
■訂正1:TRONのネーミングの元ネタは映画ではない
前年に公開された世界初のCG長編映画として公開された「トロン」(英名:TRON)をもじったネーミングだと、以前どこかの雑誌記事で見ました。
以下のポストに名前の由来は映画ではないと示されています。
https://x.com/ko1nksm/status/1974012090563305545
国立国会図書館の本登録が間に合わなかったので、私は元情報を確認していませんが、映画名が元ネタでは無いそうです。
しかし、そうはいっても当時のマイコンキッズ(死語)の間では、結構映画TRONで盛り上がりましたから、「意識しなかった」てのは個人的にはもにょりますね。
■訂正2:教育用パソコンへのBTRON統一は国内の反対で頓挫した
1985年、文部省が「教育方法開発特別設備補助」5か年計画で学校へのコンピュータ導入予算を計上。
同時期に通産省も動き、翌1986年に両省が設立したCEC(コンピュータ教育開発センター)が、教育用パソコンのOS標準化を検討。そして通産省が推したのがBTRONでした。
前回の記事では、TRONプロジェクトの流れの中でCECが、教育用パソコンのBTRON採用を進めたように書きましたが、訂正します。前提として、TRONプロジェクトと教育用パソコンは別の話です。TRONプロジェクトは坂村健氏を中心とした産学プロジェクトであり、基本的に政府は関与していません。
CECの教育用パソコンの標準OS選定は通産省と文部省の共管組織が進めたもので、坂村氏自身はこの計画にほとんど関与していなかったとされています。
通産省がBTRONを教育用パソコンの標準OSとして推したのは事実ですが、当時国内PCの最大のシェアを持つNECが猛反対し、教育現場の教師たちも既存パソコンとの継承性を強く求め、最終的に1990年7月にCECは「教育用パソコンのOSは何でも良い」と決定しました。
また当時の参加メーカーの足並みも、揃っていたとは言いがたいものだったようです。
■訂正3:米国の圧力はTRONプロジェクトに対するものではなかった
当時は日米摩擦の真っ最中で土地バブルによる資産効果もあって米国に「日本脅威論」が流行っていた時期。その騒ぎのなかでTRONが標的の"一つ"として狙われたのは事実です。
訂正します。
米国がスーパー301条の制裁候補(全34項目中の1つ)として挙げたのはTRONプロジェクトそのものではなく、「教育用パソコン市場」と「NTT次世代デジタル通信ネットワーク市場」という2つの市場の閉鎖性でした。
実際にUSTR(米国通商代表部)はTRON協会への返書で「米国政府はトロン協会の活動に対して反対するものではない」と明言しており、米国の主張は「TRON以外のOSも採用可能にしろ」というフェアな競争を求めるものでした。
TRONプロジェクトが日米摩擦の標的として狙われたという認識自体が、当時のマスコミ報道や特にプロジェクトXによって広まった誤解だったと言えます。
というか、プロジェクトX自体が…
私は初期の放送でもうさんくさく感じたので、あまり放送を見ることは無かったのですが、その後の顛末を知ると。。。
■補足:雑誌「Oh!X」での酷い扱いについて。
以下のリンクから当時のOh!Xでのコラムを確認できます。
https://archive.org/details/OhMZOhx19861989/Oh%21X_1988-07/page/126/mode/2up
言わんとしていることは分かりますし、もっともな批評だと思いますが、執筆者の方は何かと反権力的な主張のコラムをたびたび投稿されてましたので、私の中のイメージとして理不尽な批判にTRONがさらされていると記憶に残ったようです。
ほかにもOh!Xにはページの端々にTRONを小馬鹿にする走り書きがあって、雑誌全体がそういった「悪ノリ」的な雰囲気を持っていたようです。
他のOhシリーズの雑誌では見られなかったようですし。
Oh!Xはソフトバンクの出版部門の雑誌でしたので、孫正義氏のTRON潰しの疑惑と無関係ではないかもしれませんが、ここでは差し控えようと思います。
ひとまず区切ります。もう、TRONについてはKoichi Nakashima氏のQiitaを見ていただければ終わりなのですが、それでは私が消化不良になりますので、もう少し続けさせていただきます。